転職の自己PRが新卒と決定的に違うのは、意欲ではなく実績で判断される点です。「積極的に学ぶ姿勢があります」は新卒には通用しても、中途では評価されません。求められているのは、これまで何をしてどんな成果を出したか、そしてそれが応募先で再現できるかです。この記事では、実績を数字にする手順と職種別の例文4本を解説します。
この記事のポイント
- ✓中途採用は意欲ではなく実績で見られる。再現性が判断基準
- ✓数字は結果だけでなく、そこに至るプロセスとセットで書く
- ✓数字が出しにくい職種でも、業務量や改善時間で示せる
- ✓応募先の業務に接続しないと、実績があっても評価されない

中途採用の自己PRで見られていること
採用側が知りたいのは、この人を採ったら何ができるようになるかです。だから過去の実績そのものより、それが自社で再現できるかを見ています。
確認されていること
- ✓実績の中身:何をして、どんな成果が出たか
- ✓再現性:その成果は本人の工夫によるものか、環境によるものか
- ✓接続性:応募先の業務でその力が使えるか
- ✓即戦力度:入社後どのくらいで戦力になるか
「意欲」は中途では材料にならない
新卒採用ではポテンシャルが評価対象ですが、中途では前提です。「学ぶ意欲があります」「成長したいです」だけでは、何ができる人なのかが伝わりません。意欲を書くなとは言いませんが、それは実績を書いたあとの添え物にしてください。

実績を数字にする手順
「担当していました」を「これだけの規模を、こう改善しました」に変えます。手順は3つです。
- 1
① 担当した規模を書き出す
件数、金額、人数、社数、エリア、期間。まず自分が扱っていた量を洗い出す。正確でなくても概算でよい。
- 2
② 変化した数字を探す
前年比、達成率、削減した時間、改善した率、順位。何かが変わったなら、その差分が実績になる。
- 3
③ 自分がやったことを添える
数字だけでは運か実力か判断できない。何を考えて何をしたから、その数字になったのかを一文で書く。
| 職種 | 使いやすい数字 |
|---|---|
| 営業 | 売上、達成率、社数、新規獲得数、継続率、社内順位 |
| 事務 | 処理件数、削減した時間、対応部署数、ミスの件数 |
| 販売・接客 | 個人売上、客単価、リピート率、対応人数、指名数 |
| エンジニア | 担当工程、チーム規模、処理速度の改善、障害件数の削減 |
| 製造・技術 | 生産数、不良率、コスト削減額、担当ラインの規模 |
| 医療・介護 | 担当患者数、病床数、施設定員、レセプト件数 |

【例文1】営業職
例文
- ・私の強みは、顧客の利用状況を数値で把握し、先回りして提案する点です。
- ・通信機器の法人営業として担当40社を受け持ってまいりました。契約更新前にだけ接触する従来のやり方では関係が続かないと考え、四半期ごとに利用状況をまとめた報告書を持参する運用を自分で始めました。この取り組みを2年続けた結果、担当エリアの継続率は前年比で15%改善し、報告をきっかけに8社から追加受注をいただきました。
- ・貴社は導入後の運用支援まで一貫して担当されると伺いました。売った後に数字で状況を確認し続けるこの進め方は、貴社の既存顧客の深耕でも活かせると考えております。
【例文2】事務職
事務は数字が出しにくいと思われがちですが、業務量と削減時間で示せます。
例文
- ・私の強みは、繰り返しの業務を仕組みに変えて効率を上げる点です。
- ・建設会社の一般事務として、5部署30名分の経費精算と月200件の請求書処理を1人で担当しておりました。月次報告の集計に毎月8時間を要していたため、Excelの関数で自動化する仕組みを作成し、2時間まで短縮しました。空いた時間を問い合わせ対応に充てられるようになり、他部署からの依頼への返答も当日中に返せる体制になりました。
- ・貴社は業務のIT化を進めておられると伺いました。決められた手順をこなすだけでなく、手順そのものを見直してきた経験は、貴社での業務改善にも活かせると考えております。
【例文3】販売・接客職
例文
- ・私の強みは、購入後まで見据えて顧客との関係を続ける点です。
- ・アパレル販売として1日平均30名のお客様に対応してまいりました。売場に立つだけでは購入後の満足まで見届けられないと考え、購入いただいたお客様の着用シーンを記録し、次回来店時の提案に活かす取り組みを続けました。結果として担当顧客のリピート率は店舗平均を上回り、個人売上では店舗内2位となりました。
- ・貴社は接客の質を重視し、顧客との長期的な関係づくりに取り組まれていると伺いました。一度きりの販売で終わらせない関わり方は、貴社の店舗運営でも活かせると考えております。
【例文4】製造・技術職
例文
- ・私の強みは、不具合の原因を工程までさかのぼって特定する点です。
- ・自動車部品の製造ラインで生産管理を6年間担当し、12名のラインを受け持っておりました。特定の部品で不良が続いた際、検査工程での対応にとどめず、加工前の材料の保管温度に原因があることを突き止め、保管手順を変更しました。この結果、当該工程の不良率は月2.1%から0.6%まで低下し、年間でおよそ400万円のコスト削減につながりました。
- ・貴社は品質改善に力を入れておられると伺いました。目の前の症状ではなく前工程まで確認する進め方は、貴社の生産現場でも活かせると考えております。
転職の自己PRでやりがちなNG
避けたいNG
- ✕意欲だけを書く(学びたい・成長したい)→ 中途では前提。実績を先に書く
- ✕実績の数字だけを並べる → 運か実力か判断できない。行動とセットにする
- ✕前職の業務内容の説明で終わる → 説明ではなく、自分が何をしたかを書く
- ✕実績を盛る → 面接で進め方を掘られた時点で崩れる
- ✕応募先の業務に接続しない → 立派な実績でも使い道が見えないと評価されない
現場の視点:面接では「どうやって」が来る
キャリアアドバイザーとして中途採用の面接に立ち会ってきましたが、面接官が実績について聞くのはほぼ「どうやってそれを実現したのですか」の一点です。達成率120%という数字そのものには誰も興味がなく、市場が伸びていたのか、担当が良かったのか、本人の工夫があったのかを切り分けようとしている。だから自己PRの段階で、数字の前に自分がやったことを書いておくと、面接の受け答えもぶれません。逆に、数字だけを書いて中身を用意していないと、そこで止まります。書類と面接は地続きです。
数字が本当に出せない場合
守秘義務で数字を出せない、目標が個人単位でない、という状況もあります。その場合は次の代替手段を使ってください。
数字の代わりになるもの
- ・任された範囲の変化(担当エリアが2倍になった、後輩の指導を任された)
- ・社内での評価(表彰、他部署への展開、標準手順として採用された)
- ・継続した期間(3年間続けた、退職まで担当し続けた)
- ・相対的な表現(社内平均を上回る、部署で最初に導入した)
まとめ|実績を書き、応募先につなぐ
転職の自己PRは、意欲の表明ではなく実績の提示です。担当した規模を数字で示し、変化した数字を探し、そこに自分が何をしたかを添える。この3点が揃えば、実績として読まれます。そのうえで、その力が応募先のどの業務で使えるのかを一文で接続してください。実績と使い道の両方が書かれていれば、中途採用の自己PRとして十分に機能します。
よくある質問
Q.新卒のときの自己PRを使い回してもいいですか?
A.使えません。新卒はポテンシャルで、中途は実績で判断されます。学生時代の経験ではなく、これまでの職務で何をしてどんな成果が出たかを書いてください。
Q.実績を数字で出せない職種はどうすればいいですか?
A.業務量、削減した時間、対応した人数や部署数で示せます。それも難しい場合は、任された範囲の変化や社内での評価(表彰、他部署への展開)を使ってください。
Q.自己PRと志望動機の違いは何ですか?
A.自己PRは自分に何ができるか、志望動機はなぜこの会社かです。内容が重なることはありますが、自己PRでは実績を、志望動機では応募先を選んだ理由を中心に書き分けてください。
Q.経験年数が短くても書けますか?
A.書けます。年数の長さではなく、担当した業務で何を考えて動いたかが評価されます。1年でも改善に取り組んだ経験があれば十分な材料になります。
Q.何文字くらいで書けばいいですか?
A.履歴書の自己PR欄なら200〜300字、職務経歴書に書く場合は300〜400字が目安です。欄の8割程度が埋まる分量にしてください。

この記事の監修
SHIMA ENAGA現役キャリアアドバイザー/国家資格キャリアコンサルタント
人材紹介会社の現役キャリアアドバイザー。面談約1,000人、書類の添削・作成約800人。国家資格キャリアコンサルタント。得意な分野は20代の未経験転職。接客販売・営業・事務・ITエンジニア・施工管理など。