ITエンジニアの志望動機は、技術スタックを並べれば伝わると思われがちです。ですが使用言語やフレームワークは職務経歴書に書けば済む話で、志望動機で見られているのは別のところにあります。なぜその技術を選び、その会社の事業でそれをどう活かすのか。この記事では、経験年数別の例文4パターンと、技術の語り方を解説します。
この記事のポイント
- ✓技術スタックの列挙は職務経歴書の役割。志望動機では選んだ理由を書く
- ✓自社開発・受託・SESで働き方が違う。応募先の形態を確認する
- ✓担当した工程・チーム規模・役割を書くと、実力の見当がつく
- ✓未経験なら、作ったものを1つ示すのが最も強い

志望動機で見られていること
技術力は職務経歴書とコードで判断されます。志望動機で確認されているのは、技術以外の部分です。
採用側が確認していること
- ✓事業への理解:何を作っている会社かを調べているか
- ✓技術選定の考え方:言われた通りに書くだけでなく、理由を考えて選んでいるか
- ✓チームで開発できるか:レビュー、設計の議論、他職種との連携の経験
- ✓学び続けているか:業務外での学習や、新しい技術への向き合い方
「技術力を高めたい」だけでは弱い
エンジニアの志望動機で最も多いのがこれです。向上心は前提として持たれているため、差がつきません。むしろ、成長させてもらう側の立場に見えてしまいます。自分が何を提供できるかを半分は書いてください。

開発形態で働き方が違う
同じエンジニアでも、企業の形態によって関われる範囲が変わります。ここを理解せずに書くと、応募先で実現できないことを志望理由にしてしまいます。
| 形態 | 特徴 | 志望動機で書くべきこと |
|---|---|---|
| 自社開発 | 自社サービスを継続的に改善する。企画から関わることも多い | そのサービスへの理解と、改善に関わりたい理由 |
| 受託開発 | クライアントの要件に応じて開発。案件ごとに技術が変わる | 多様な技術に触れる姿勢、要件を整理する力 |
| SES・客先常駐 | 客先に常駐して開発に参加。現場が変わる | 環境変化への適応力、幅広い経験の活かし方 |
| 社内SE | 自社の業務システムの運用・改善。非エンジニアとの連携が多い | 業務理解と、技術以外の人に説明する力 |
経験を具体的に書く4項目
「Javaで開発経験3年」だけでは実力の見当がつきません。次の4つを添えると、どのレベルで何をしてきたかが伝わります。
志望動機・職務経歴書に入れる項目
- ・担当した工程:要件定義/基本設計/詳細設計/実装/テスト/運用のどこまでか
- ・チーム規模と役割:何名のチームで、リーダーやレビュー担当だったか
- ・技術スタック:言語・フレームワーク・DB・インフラ・使用したツール
- ・サービスの規模:ユーザー数、リクエスト数、データ量など分かる範囲で
上流工程の経験は特に効く
実装だけでなく要件定義や設計に関わった経験があれば必ず書いてください。実装できる人より、要件を整理して設計まで落とせる人のほうが採用市場では希少です。顧客や企画担当と直接話した経験があれば、それも添えます。
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【例文1】経験3〜5年・受託から自社開発へ
例文
- ・作ったサービスを継続的に改善していく開発に携わりたいと考え、志望しました。
- ・受託開発企業でWebアプリケーションの開発を4年間担当し、直近は5名のチームでバックエンドの設計と実装、レビューを担当してまいりました。技術スタックはTypeScriptとNode.js、PostgreSQLが中心です。案件ごとに新しい技術に触れられる面白さがある一方、納品して終わりのため、リリース後にユーザーがどう使ったかを踏まえて改善する経験が積めないことに物足りなさを感じておりました。
- ・貴社は自社サービスの改善サイクルを短く回し、エンジニアも数値を見ながら仕様を提案されていると伺いました。受託で培った要件を整理する力は、改善の優先度を判断する場面でも活きると考えております。
【例文2】経験1〜2年・若手
例文
- ・設計から関われる環境で、エンジニアとしての幅を広げたいと考え志望しました。
- ・現職ではSESとして客先に常駐し、業務システムの改修を2年間担当してまいりました。JavaとSpring Bootを用いた実装とテストが中心で、直近では既存機能のパフォーマンス改善を担当し、レスポンスの遅い一覧画面のクエリを見直して表示時間を約3秒から1秒未満に短縮しました。
- ・実装の経験は積めた一方、なぜその仕様になったのかを知る機会が少なく、設計の判断に関わりたいと考えるようになりました。貴社は少人数のチームで要件定義から実装まで一貫して担当すると伺い、その環境で力をつけたいと考えております。業務外ではAWSの学習を進め、認定資格の取得に向けて準備しております。
【例文3】経験7年以上・リード経験あり
例文
- ・技術選定と育成の両面からプロダクトを支える立場で貢献したいと考え、志望しました。
- ・自社サービスの開発に8年間携わり、直近3年は8名のチームでテックリードを務めてまいりました。モノリシックな構成だったシステムについて、変更頻度の高い決済まわりを段階的に切り出す方針を立て、影響範囲を限定しながら移行を進めました。あわせてレビュー基準を明文化し、新メンバーが最初のプルリクエストを出すまでの日数を平均で半分程度に短縮しました。
- ・貴社は事業の拡大に伴い開発組織を拡張される段階だと伺いました。技術的な意思決定と、人が増えても品質を保つ仕組みづくりの両方に取り組んできた経験は、この段階で活かせると考えております。
【例文4】未経験からエンジニアへ
未経験の場合、作ったものを1つ示すのが最も強い材料になります。規模は問いません。
例文
- ・業務の課題を仕組みで解決する仕事に取り組みたいと考え、志望しました。
- ・物流倉庫の管理業務を5年間担当し、入出荷の記録を紙とExcelで管理しておりました。転記ミスによる在庫のずれが月に数件発生していたため、独学でVBAを学び、入力フォームから自動で台帳に反映される仕組みを作成しました。導入後は転記に起因するずれがほぼなくなり、確認作業も1日30分ほど短縮できました。
- ・この経験からプログラミングを本格的に学びたいと考え、現在はJavaScriptとSQLを学習し、業務管理用のWebアプリを制作してGitHubに公開しております。実務経験はありませんが、使う側の業務を理解している点は要件を考える場面で活かせると考えております。まずは設計の基礎とチーム開発の進め方を学び、早期に貢献したいと考えております。
エンジニアの志望動機でやりがちなNG
避けたいNG
- ✕技術スタックの列挙で終わる → 職務経歴書の役割。志望動機では選んだ理由を書く
- ✕「技術力を高めたい」が中心 → 成長させてもらう側に見える。提供できることを半分書く
- ✕事業内容に触れない → 何を作っている会社かを調べていないと分かる
- ✕「モダンな技術を使いたい」だけ → 技術が目的化していると見られる
- ✕前職の技術的負債への批判 → 改善提案までセットでないと不満に読める
現場の視点:作ったものを1つ見せるのが最短
キャリアアドバイザーとしてエンジニア職の紹介をしていると、未経験や経験の浅い応募者で通る人には共通点があります。動くものを1つ持っていることです。規模は関係ありません。業務を効率化したExcelマクロでも、個人で作った小さなWebアプリでも構わない。作ったという事実と、なぜ作ったかの説明があると、採用側は学習意欲を具体的に測れます。逆に「勉強しています」とだけ書かれていると、どの水準なのか判断できないため、比較の土俵に乗りません。GitHubのURLを添えるだけで扱いが変わります。
まとめ|技術ではなく、判断を書く
ITエンジニアの志望動機で差がつくのは、技術スタックの新しさではありません。なぜその技術を選んだか、なぜその会社なのか、その事業に自分の経験がどう接続するか。この判断の部分です。担当工程・チーム規模・役割を具体的に書いて実力の見当がつく状態にし、そのうえで応募先の事業に触れる。未経験なら、小さくても作ったものを1つ示す。これで志望動機は形になります。
よくある質問
Q.志望動機に技術スタックは書かなくていいですか?
A.触れる程度で十分です。詳細は職務経歴書に書けばよく、志望動機ではなぜその技術を選んだか、応募先でどう活かすかを書いてください。
Q.未経験からエンジニアになるのは難しいですか?
A.実務経験者より選考は厳しくなりますが、作ったものを1つ示せると評価は変わります。規模は問いません。業務を効率化したマクロや個人開発のアプリでも、作った理由を説明できれば十分な材料になります。
Q.SESから自社開発への転職は不利ですか?
A.不利ではありません。ただし、なぜ環境を変えたいかを前向きに説明する必要があります。「常駐が嫌だから」ではなく、リリース後の改善に関わりたいなど、やりたい開発の内容として書いてください。
Q.GitHubのアカウントは書いたほうがいいですか?
A.見せられる内容があれば書いてください。特に未経験や経験の浅い場合、学習の水準を判断してもらえる材料になります。ただし業務コードは絶対に公開しないでください。
Q.資格は必要ですか?
A.必須ではありませんが、基本情報技術者やAWS認定などは学習の裏づけになります。特に未経験の場合、体系的に学んだ証明として一定の効果があります。

この記事の監修
SHIMA ENAGA現役キャリアアドバイザー/国家資格キャリアコンサルタント
人材紹介会社の現役キャリアアドバイザー。面談約1,000人、書類の添削・作成約800人。国家資格キャリアコンサルタント。得意な分野は20代の未経験転職。接客販売・営業・事務・ITエンジニア・施工管理など。