医療事務は未経験から目指す人が多い職種です。「未経験は採用されない」と言われることもありますが、実際には未経験可の求人が数多くあります。分かれ目になるのは資格の有無より、医療事務の業務を理解したうえで応募しているかどうかです。この記事では、業務内容の押さえ方と経験別の例文4パターンを解説します。
この記事のポイント
- ✓医療事務は未経験可の求人が多い。資格が必須とは限らない
- ✓受付・会計・レセプト・クラークで業務の中心が変わる
- ✓レセプトに一言触れるだけで、調べていることが伝わる
- ✓接客経験とPCスキルは、未経験者の最大の武器になる

医療事務の業務は4つに分かれる
医療事務とひとくくりにされますが、実際の業務は複数に分かれ、施設の規模によって担当範囲が変わります。応募先がどこを中心に任せたいのかを求人票で確認してください。
| 業務 | 内容 | 求められること |
|---|---|---|
| 受付 | 患者の受付、保険証確認、予約管理、電話対応 | 落ち着いた接遇。体調の悪い患者への配慮 |
| 会計 | 診療内容に応じた窓口負担の計算と精算 | 正確さ。金銭を扱うことへの慎重さ |
| レセプト | 診療報酬明細書の作成・点検、保険者への請求 | 診療報酬の知識。月初の繁忙に対応する集中力 |
| クラーク(medical clerk) | 病棟や外来での書類作成補助、カルテ入力の代行 | 医療用語の理解。医師・看護師との連携 |
施設の規模で担当範囲が変わる
小規模なクリニックでは、受付から会計、レセプトまで1人が一通り担当することが珍しくありません。一方、大きな病院では業務が分業され、レセプト専任やクラーク専任として配属されることがあります。求人票の業務内容欄を読み、どの範囲を任される想定かを確認してから志望動機を書いてください。

資格は必須ではない
医療事務には診療報酬請求事務能力認定試験をはじめとする複数の資格がありますが、応募の必須条件になっているとは限りません。未経験・無資格から採用され、働きながら資格を取る人も多くいます。
資格について押さえておくこと
- ✓無資格でも応募できる求人は数多くある
- ✓資格があれば、レセプトの知識があることの証明になり有利に働く
- ✓勉強中であれば、その旨を書くだけでも意欲が伝わる
- ✓資格より、続けられそうかと接遇ができるかを重視する施設も多い
「未経験は採用されない」は正確ではない
そう言われることがありますが、未経験可の求人は実際に多く存在します。落ちる理由は未経験だからではなく、業務を調べずに「人の役に立ちたい」とだけ書いているケースが目立つためです。受付だけの仕事だと思って応募し、レセプトの存在を知らないまま面接に臨むと、そこで差がつきます。
レセプトに触れると差がつく
未経験者の志望動機で最も効くのが、レセプト業務への言及です。医療事務を「受付の仕事」だと思って応募する人が多いなかで、月初にレセプト業務が集中することまで理解して書いてあると、それだけで調べた人だと分かります。
書き方の例
- ・「受付や会計だけでなく、月初にはレセプト業務が集中すると伺っております」
- ・「診療報酬の知識が必要な業務であると理解し、現在資格の学習を進めております」
- ・「正確さが求められる業務であることを踏まえ、前職で培った確認の習慣を活かしたいと考えております」

【例文1】未経験・接客経験から
未経験者の王道パターンです。接遇の経験と、レセプトへの理解、PCスキルの3点を入れます。
例文
- ・患者様が安心して受診できる環境づくりに関わりたいと考え、医療事務を志望しました。
- ・ドラッグストアの販売員として5年間勤務し、体調のすぐれないお客様への対応を数多く経験してまいりました。急いでいる方、不安を抱えている方それぞれに合わせて説明の仕方を変えることを心がけ、店舗の接客評価で複数回表彰をいただきました。
- ・医療事務は受付や会計だけでなく、月初にレセプト業務が集中する正確さの求められる仕事だと理解しております。現在は診療報酬請求事務の資格取得に向けて学習を進めております。ExcelはVLOOKUPを用いた集計まで対応できます。まずは受付業務から確実に覚え、早期にレセプト業務も担えるよう努めます。
【例文2】未経験・一般事務から
例文
- ・事務の正確さを、人の健康を支える現場で活かしたいと考え志望しました。
- ・前職では建設会社の一般事務として、月200件の請求書処理と5部署分の経費精算を担当しておりました。金額の相違が一件でもあると取引先の信頼に関わるため、二重確認の手順を自分で決めて運用し、担当した2年間で差し戻しはありませんでした。
- ・医療事務は診療報酬の算定という正確さが直接求められる業務だと理解しております。前職で培った確認の習慣は、レセプト点検の場面で活かせると考えております。医療の知識はこれから学ぶ段階ですので、まずは用語と算定の基礎を早く身につけたいと考えております。
【例文3】経験者・クリニックから病院へ
例文
- ・より幅広い診療科のレセプト業務に携わりたいと考え、貴院を志望しました。
- ・内科クリニックで4年間、受付から会計、レセプト作成まで一通りを担当してまいりました。月におよそ800件のレセプトを作成・点検し、返戻率を前年から半減させた経験がございます。算定の誤りが起きやすい項目を一覧にまとめ、点検時に必ず確認する運用に変えたことが要因でした。
- ・貴院は複数の診療科を有し、レセプト業務も規模が大きいと伺いました。クリニックで一通りの流れを理解した経験を土台に、より専門的な算定知識を身につけたいと考えております。点検の精度で貢献したいと考えております。
【例文4】ブランクからの復職
例文
- ・子育てが落ち着いたことを機に、医療事務として再び働きたいと考え志望しました。
- ・総合病院の医事課で6年間、外来の受付とレセプト点検を担当しておりました。出産を機に4年間現場を離れておりましたが、この間に診療報酬の改定があったため、改定内容を独学で確認し、医療事務の実務講座を受講して知識を最新の内容に更新しました。
- ・貴院は電子カルテを導入されていると伺いました。前職でも電子カルテを使用しており、操作には慣れております。ブランクがある分、改定後の算定ルールを早期に確認し、確実に業務を回せる状態をつくることを最優先に考えております。
医療事務の志望動機でやりがちなNG
避けたいNG
- ✕「人の役に立ちたい」だけで終わる → 医療職全般に言える。医療事務である理由を書く
- ✕受付の仕事としか捉えていない → レセプトに触れていないと調べていないと分かる
- ✕「医療の知識を学びたい」が中心 → 学校ではない。何を提供できるかも書く
- ✕「土日休みだから」「安定しているから」→ 待遇が理由に読める
- ✕PCスキルを書かない → 電子カルテやレセコンを扱う職種。基本操作の水準は必ず書く
現場の視点:月初を乗り切れるかを見られている
キャリアアドバイザーとして医療機関に人を紹介していると、採用担当が必ず口にすることがあります。「月初の忙しさに耐えられる人かどうか」です。レセプト業務は月初に集中し、期限までに請求を仕上げなければなりません。この時期の負荷を知らずに入職して辞めてしまう人が一定数いるため、施設側は最初から警戒しています。志望動機の段階で月初の繁忙に触れておくと、その懸念が消えます。知っていて選んでいる人だと伝わるからです。
まとめ|業務を理解していることを示す
医療事務の志望動機で必要なのは、医療への熱意を語ることではありません。受付・会計・レセプトという業務の全体像を理解し、そのうえで応募していると示すことです。未経験でも、接客で培った接遇と、事務で培った正確さは十分な材料になります。そこにレセプトへの言及とPCスキルの具体的な水準を添えれば、資格がなくても読まれる志望動機になります。
よくある質問
Q.医療事務は資格がないと応募できませんか?
A.資格が必須とは限りません。未経験・無資格可の求人は数多くあります。資格があればレセプトの知識の証明になり有利ですが、学習中であればその旨を書くだけでも意欲は伝わります。
Q.「未経験は採用されない」と聞きましたが本当ですか?
A.正確ではありません。未経験可の求人は実際に多く存在します。落ちる原因は未経験であること自体ではなく、業務内容を調べずに応募しているケースが多いためです。
Q.レセプトとは何ですか?
A.診療報酬明細書のことで、患者が窓口で支払う分以外の医療費を保険者に請求するための書類です。月初に作成と点検が集中するため、この時期は繁忙になります。
Q.接客経験しかありませんが、志望動機に書けますか?
A.書けます。医療事務は患者と直接接する仕事なので、接遇の経験は強みです。体調のすぐれない方への配慮など、具体的な場面を1つ挙げてください。
Q.PCスキルはどの程度必要ですか?
A.電子カルテやレセプトコンピュータを扱うため、基本的なPC操作は必要です。志望動機や職務経歴書には「Excelでの集計」「タイピングの速さ」など、使えるレベルを具体的に書いてください。

この記事の監修
SHIMA ENAGA現役キャリアアドバイザー/国家資格キャリアコンサルタント
人材紹介会社の現役キャリアアドバイザー。面談約1,000人、書類の添削・作成約800人。国家資格キャリアコンサルタント。得意な分野は20代の未経験転職。接客販売・営業・事務・ITエンジニア・施工管理など。