事務職の志望動機が書きにくいのは、売上のようなわかりやすい数字が出ない仕事だからです。「正確に丁寧に業務を進めてきました」と書いても、応募者全員が同じことを書きます。この記事では、数値化しにくい事務の仕事をどう実績として提示するかと、経験別の例文4パターンを解説します。
この記事のポイント
- ✓事務は人気職種で倍率が高い。他の応募者と同じ文では埋もれる
- ✓「正確・丁寧」は全員が書く。処理件数や改善した時間で示す
- ✓事務職の種類(一般事務・営業事務・経理・医療事務)で求められる力が違う
- ✓志望理由に「楽そう」「安定」が透けると落ちる

事務の志望動機が埋もれる理由
事務職は応募が集中する職種です。そのなかで、ほとんどの応募者が「正確さ」「丁寧さ」「縁の下の力持ち」という同じ言葉を使います。書いてあること自体は間違っていませんが、全員が書くため差がつきません。採用担当が知りたいのは、その正確さがどの程度の業務量のなかで発揮されたのかです。
採用担当が確認していること
- ✓処理できる業務の量と幅(どの規模の仕事を回せるか)
- ✓使えるツールのレベル(Excel・専用システムの実務経験)
- ✓周囲と連携して動けるか(事務は他部署との接点が多い)
- ✓指示待ちではなく、改善に動けるか

数値化しにくい仕事を数字にする
事務にも数字はあります。売上ではなく、業務量・処理速度・削減時間・対応範囲で示してください。ここを書けるかどうかで、書類の説得力が変わります。
| 数字にする軸 | 書き方の例 |
|---|---|
| 処理件数 | 月200件の請求書処理を1人で担当 |
| 削減した時間 | Excelの関数で集計を自動化し、月次報告の作成を8時間から2時間に短縮 |
| 対応範囲 | 5部署・30名分の備品発注と経費精算を担当 |
| ミスの少なさ | 担当2年間で請求書の差し戻しゼロ |
| 兼任・引き継ぎ | 退職者の業務を引き継ぎ、2名分の業務を1名で運用 |
正確な数字がわからない場合
「月200件程度」「およそ30名分」のように概算で構いません。規模感が伝わればいいので、細かい正確さより、書いてあること自体に価値があります。
改善のエピソードが一番効く
事務の評価で伸びるのは「言われたことをこなした」ではなく「自分で気づいて変えた」経験です。小さくて構いません。ファイルの命名規則を統一した、問い合わせの多い質問をまとめて共有した、といったレベルでも、自分で課題を見つけて動いたという事実が伝わります。
事務職の種類で書き分ける
「事務」とひとくくりにされがちですが、実際には求められる力が違います。応募先がどの種類かを求人票で確認して、強調する点を変えてください。
| 種類 | 中心となる業務 | 強調すること |
|---|---|---|
| 一般事務 | 書類作成、データ入力、電話・来客対応 | 業務の幅広さと、複数を並行して回す力 |
| 営業事務 | 見積・受発注、営業のサポート、顧客対応 | 営業と顧客の間に立つ調整力とスピード |
| 経理事務 | 仕訳、月次・年次決算、請求・支払管理 | 簿記の知識と、扱った決算規模・会計ソフト |
| 医療事務 | 受付、会計、レセプト業務 | レセプトの経験、患者対応の丁寧さ |

【例文1】事務経験者(同職種への転職)
経験者は、処理量と改善の実績を前面に出します。応募先の業務規模に対応できることが伝わる書き方にしてください。
例文(一般事務→一般事務)
- ・業務の改善まで踏み込める事務職として働きたいと考え、貴社を志望しました。
- ・前職では5部署30名分の備品発注・経費精算・請求書処理を1人で担当し、月におよそ200件の伝票を処理しておりました。月次報告の集計に毎月8時間かかっていたため、Excelの関数で自動化する仕組みを作り、2時間まで短縮しました。空いた時間を他部署からの問い合わせ対応に充てられるようになり、担当者の負担軽減にもつながりました。
- ・貴社は業務のIT化を進めておられると伺い、決められた手順をこなすだけでなく、やり方そのものを見直せる環境だと感じました。これまでの処理経験と改善の視点を活かし、部署全体が動きやすい状態をつくることで貢献したいと考えております。
【例文2】営業・接客から事務へ
異職種からの転職では、前職の経験が事務でどう活きるかを翻訳します。「人と話すのが疲れた」という本音は書かず、身につけた力に置き換えてください。
例文(営業→営業事務)
- ・営業の現場で培った顧客対応の経験を、営業を支える立場で活かしたいと考え志望しました。
- ・前職では法人営業として担当30社を受け持ち、見積作成から納品後のフォローまで一貫して対応してまいりました。受注後の事務処理が滞ると顧客の信頼が損なわれることを何度も経験し、社内の受発注フローを整理して営業と事務の連携手順を文書化したところ、納品までの平均日数を2日短縮できました。
- ・貴社の営業事務は営業担当と顧客の双方とやり取りする役割だと伺いました。営業側の事情と顧客の要望の両方を理解している点が強みになると考えております。前職で身につけた調整力と、正確な処理の両立で貢献したいと考えております。
【例文3】未経験から事務へ
未経験の場合、事務職への憧れだけでは通りません。PCスキルの具体的な水準と、前職で培った転用可能な力を示してください。
例文(販売職→一般事務)
- ・店舗で担当してきた事務作業をさらに深く担い、組織を支える立場で働きたいと考え志望しました。
- ・アパレル販売として接客を担当する一方、店舗のシフト作成と売上日報の集計、本部への報告業務も任されておりました。手書きだった在庫の受け渡し記録をExcelで管理する形に変えたところ、棚卸しの作業時間がおよそ3割減り、他店舗にも展開されました。この経験から、仕組みを整えて周囲が働きやすくなることに手応えを感じるようになりました。
- ・事務職としての実務経験はありませんが、ExcelはVLOOKUPとピボットテーブルを使った集計まで対応でき、現在は日商簿記3級の取得に向けて学習を進めております。まずは正確に業務を覚えることを最優先に、早期に戦力となれるよう努めます。
【例文4】ブランクからの復職
ブランクは隠さず、復帰に向けて準備してきたことを書きます。勤務可能な条件を明記すると、採用側は受け入れ後を想像しやすくなります。
例文(育児によるブランクあり)
- ・育児が落ち着いたことを機に、これまでの経理の経験を活かして再び働きたいと考え志望しました。
- ・出産前は建設会社の経理として6年間、月次決算と請求・支払管理を担当し、年商およそ10億円規模の決算業務に携わってまいりました。3年のブランクがありますが、復職に向けて会計ソフトの操作を学び直し、日商簿記2級を取得いたしました。
- ・貴社は経理体制の整備を進めておられると伺い、これまでの実務経験を活かせると考えました。子どもの預け先は確保しており、平日フルタイムでの勤務が可能です。まずは貴社の処理方法を確実に覚え、月次業務を安定して回せる状態を早期につくりたいと考えております。
事務の志望動機でやりがちなNG
次の4つは、書類選考で評価を下げます。特に1つ目は非常に多いパターンです。
避けたいNG
- ✕「正確・丁寧」だけで終わる → 全員が書く。処理量や改善の実績で裏づける
- ✕「人と話すのが苦手なので事務を」→ 事務も他部署・顧客と関わる。逃げの理由に読める
- ✕「安定して長く働けそう」だけ → 志望理由が待遇に見える。仕事内容への関心を書く
- ✕PCスキルを「基本操作ができます」で済ませる → 使える関数や機能を具体的に書く
現場の視点:事務は「量をさばけるか」で見られている
キャリアアドバイザーとして事務職の紹介をしていると、企業から返ってくる質問はほぼ決まっています。「どのくらいの件数を処理していましたか」「Excelはどこまで使えますか」「何名の部署でしたか」。つまり、丁寧さは前提として、業務量に耐えられるかを知りたがっている。事務は募集人数が少なく応募が集中するため、書類の段階で処理能力の目安が書かれていないと、比較の土俵に乗りません。数字を1つ入れるだけで、選考の通過率は目に見えて変わります。
PCスキルの書き方
事務職では、PCスキルの記載が具体的かどうかで実務レベルが判断されます。「基本操作ができます」では何ができるのか伝わりません。使える機能を名指しで書いてください。
書き方の例
- ・Excel:VLOOKUP・ピボットテーブルを用いた集計、マクロの記録レベルの自動化
- ・Word:差し込み印刷を用いた案内状の一括作成
- ・会計ソフト:弥生会計での仕訳入力・月次資料の出力
- ・その他:kintone・Salesforceなど社内システムでのデータ管理
まとめ|数字を1つ入れれば土俵に乗る
事務の志望動機で差がつくのは、文章のうまさではありません。処理件数、削減した時間、対応した人数。この種の数字が1つ入っているかどうかです。そのうえで、自分で気づいて改善した経験を短く添える。応募先が一般事務なのか営業事務なのか経理なのかを確認して、強調点を合わせる。この3つを押さえれば、同じ言葉が並ぶ応募書類のなかで読まれる文になります。
よくある質問
Q.事務未経験でも志望動機は書けますか?
A.書けます。前職で担当していた事務作業(シフト作成、売上集計、在庫管理、報告書作成など)は立派な材料です。加えてExcelで使える機能を具体的に書くと、実務レベルが伝わります。
Q.売上のような数字がない仕事は、何を書けばいいですか?
A.処理件数、削減した時間、対応した部署数や人数、ミスの少なさ、引き継いだ業務量などが数字になります。「月200件」「月次報告を8時間から2時間に短縮」のように書いてください。
Q.「安定して長く働きたい」という理由は書いてはいけませんか?
A.それだけで終わるのは避けてください。長く働きたい気持ちは自然ですが、書類では仕事内容への関心を中心に据え、そのうえで長期的に貢献したい姿勢を添える形にします。
Q.PCスキルはどこまで書けばいいですか?
A.使える機能を名指しで書いてください。「Excel:VLOOKUP・ピボットテーブルを用いた集計」のような書き方です。「基本操作ができます」では実務レベルが判断できません。
Q.志望動機は何文字くらいが適切ですか?
A.履歴書の欄なら200〜300字、職務経歴書やエントリーシートなら300〜400字が目安です。欄の8割程度が埋まる分量にしてください。

この記事の監修
SHIMA ENAGA現役キャリアアドバイザー/国家資格キャリアコンサルタント
人材紹介会社の現役キャリアアドバイザー。面談約1,000人、書類の添削・作成約800人。国家資格キャリアコンサルタント。得意な分野は20代の未経験転職。接客販売・営業・事務・ITエンジニア・施工管理など。