法人営業の志望動機は、「商材」「顧客」「実績」の3点が揃っているかで評価が決まります。とくに有形商材と無形商材では求められる力が違うため、応募先がどちらを扱うかを踏まえずに書くと、的外れな自己アピールになります。この記事では、商材タイプ別の書き分けと例文4パターンを解説します。
この記事のポイント
- ✓採用側は「扱った商材・担当した顧客・あげた実績」の3点で再現性を見る
- ✓有形商材は製品知識と関係構築、無形商材は課題発見と提案設計が軸
- ✓実績は「売上3,300万円(達成率105%)」のように数値で書く
- ✓未経験はインサイドセールスから入る道が広がっている

採用側が見ている3点セット
法人営業の中途採用は、職歴の中身が最重視されます。見られているのは次の3点で、この組み合わせから「自社でも同じ成果を出せるか」という再現性を判断しています。
書類で確認されていること
- ✓商材:何を売っていたか(具体的な内容・単価帯・有形か無形か)
- ✓顧客:誰に売っていたか(新規か既存か、業種、企業規模、エリア)
- ✓実績:どれだけ売ったか(売上額、達成率、成約件数、社内表彰)
有形商材と無形商材で求められる力が違う
同じ法人営業でも、扱う商材によって仕事の性質が変わります。応募先がどちらかを確認し、強調点を合わせてください。
| 有形商材(機械・部品・食品など) | 無形商材(IT・広告・人材・コンサルなど) | |
|---|---|---|
| 売り方の軸 | 製品仕様・品質・納期をデータで正確に伝える | 顧客も気づいていない課題を発見し、解決策を設計する |
| 求められる力 | 製品知識、サプライチェーン理解、長期的な関係構築 | 課題発見力、ソリューション提案力、言語化する力 |
| 説得の仕方 | 実物・デモで示しやすい | 導入効果が見えにくいため、説明力と信頼が要 |
| 特徴 | 比較されやすく、利益率は低め | 利益率が高い傾向。SaaSなど分業型も多い |
SaaS営業は分業が前提
近年のSaaS企業では、営業工程がインサイドセールス(非対面での商談創出)、フィールドセールス(商談・受注)、カスタマーサクセス(導入後の支援)に分業されています。未経験者はインサイドセールスから入って段階的に進むのが一般的なので、応募先がどの職種の募集かを必ず確認してください。
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【例文1】有形商材の経験者
例文(産業機械→産業機械)
- ・扱う設備の技術的な理解を武器に、より提案の幅が広い環境で働きたいと考え志望しました。
- ・産業機械メーカーの法人営業として7年間、製造業の顧客60社を担当してまいりました。単価2,000万円前後の設備は仕様比較で選ばれやすいため、導入後の保守費用まで含めた総コストの試算資料を自作して提案したところ、価格勝負を避けた受注が増え、昨年度は売上3億円・達成率110%で部内1位となりました。
- ・貴社の設備は導入後のカスタマイズ性が強みと伺い、技術を翻訳して伝える自分の営業スタイルが活きると考えております。
【例文2】無形商材の経験者
例文(広告→SaaS)
- ・課題を掘り起こして解決策を設計する営業を、より長期の顧客支援ができる事業で続けたいと考え志望しました。
- ・広告代理店の法人営業として5年間、中堅企業の販促支援を担当してまいりました。「広告を出したい」という依頼の背景を掘ると、実際の課題は問い合わせ後の追客体制にあるケースが多く、広告と合わせて顧客管理の運用改善まで提案する形に切り替えたところ、継続受注率が大きく改善し、担当売上は年間8,000万円に達しました。
- ・単発の施策では顧客の成果に伴走しきれないと感じており、導入後も関わり続けられるSaaSの営業に魅力を感じています。課題の言語化力で貢献いたします。
【例文3】個人営業から法人営業へ
例文
- ・お客様個人への提案で培った傾聴力を、組織の課題解決に広げたいと考え志望しました。
- ・住宅メーカーの個人営業として6年間、年間12棟前後の契約を担当してまいりました。ご家族ごとに意思決定者と重視点が異なるため、初回面談で全員の要望を聞き分けて提案に反映する進め方を徹底し、紹介経由の契約が全体の4割を占めるまでになりました。
- ・法人営業では意思決定に関わる方が複数になりますが、立場の異なる相手の要望を整理して合意に導く点は共通していると考えています。検討期間の長い商談にも、個人営業で培った継続的な関係づくりで対応いたします。
【例文4】未経験からインサイドセールスへ
例文(事務→インサイドセールス)
- ・相手の状況を引き出して次の一歩につなげる仕事に、営業の入り口から挑戦したいと考え志望しました。
- ・前職では営業事務として、月200件の問い合わせ対応と見積作成を担当してまいりました。問い合わせの電話で用件だけでなく導入時期や予算感まで伺ってメモを営業に渡す運用を自分で始めたところ、商談化の判断が早くなったと営業部から評価され、部内の標準手順になりました。
- ・この経験から、対話で情報を引き出して商談につなげるインサイドセールスに挑戦したいと考えるようになりました。まずは架電数と仮説の質の両方にこだわり、フィールドセールスへのステップアップを目指します。
現場の視点:数字がない人は「行動量」で語る
キャリアアドバイザーとして営業未経験の方を支援していると、売上実績がないことを気にする方がほとんどです。ですが企業側が未経験者に求めているのは実績ではなく、目標に向けてコミットした経験です。前職に数値目標がなければ、処理件数でも、続けてきた学習でも、部活の練習量でも構いません。「決めた量をやり切った事実」を1つ数字で示せれば、実績の欄は埋まらなくても評価は成立します。

法人営業の志望動機でやりがちなNG
避けたいNG
- ✕商材のタイプ(有形か無形か)を無視して書く → 求められる力がずれる
- ✕「コミュニケーション力があります」だけ → 商材・顧客・実績の3点で具体化する
- ✕実績の数字に達成率や母数がない → 「売上◯円(達成率◯%)」の形で
- ✕SaaSの分業を知らずに応募する → 募集職種がどの工程かを確認する
まとめ|応募先の商材に、自分の型を接続する
法人営業の志望動機は、商材・顧客・実績の3点を数字つきで示し、応募先の商材タイプに自分の営業スタイルを接続できれば完成します。有形なら製品理解と関係構築、無形なら課題発見と提案設計。自分の経験がどちらの文脈で活きるかを一文で言えるようにしてから、書き始めてください。
よくある質問
Q.有形商材と無形商材、どちらの経験が有利ですか?
A.どちらが上ということはなく、応募先の商材と近いほうが有利です。異なるタイプへ移る場合は、共通するスキル(ヒアリング・課題整理・関係構築)を軸に書いてください。
Q.売上の数字を出せない場合はどうすればいいですか?
A.達成率、担当社数、継続率、社内順位など別の数字を使ってください。守秘義務がある場合は「年間◯億円規模」のような概数でも十分です。
Q.未経験で法人営業に挑戦できますか?
A.できます。特にSaaS業界ではインサイドセールスから入る道が一般化しています。前職の傾聴力や目標達成の経験を数字で示し、学習意欲を添えてください。
Q.IT知識がなくてもIT系の法人営業に応募できますか?
A.応募できますが、基本情報技術者やITパスポートなどの学習を始めていると、意欲の証明になり有利です。学習中であればその旨を書いてください。

この記事の監修
SHIMA ENAGA現役キャリアアドバイザー/国家資格キャリアコンサルタント
人材紹介会社の現役キャリアアドバイザー。面談約1,000人、書類の添削・作成約800人。国家資格キャリアコンサルタント。得意な分野は20代の未経験転職。接客販売・営業・事務・ITエンジニア・施工管理など。