営業職の志望動機は、他の職種より書きやすいはずなのに手が止まる、という人が多い職種です。理由ははっきりしていて、成果が数字で出る仕事だからこそ「何をどこまで書けば伝わるのか」の判断が難しいためです。この記事では、営業の志望動機に必要な3つの要素と、経験別の例文4パターン、そして数字の入れ方を解説します。
この記事のポイント
- ✓営業の志望動機は「なぜ営業か」「なぜこの会社か」「入社後どう貢献するか」の3点
- ✓実績は結果の数字だけでなく、そこに至るプロセスをセットで書く
- ✓未経験なら、前職の経験を営業の仕事に翻訳して書く
- ✓扱う商材と営業スタイルを調べずに書くと、どの会社にも出せる文になる

営業の志望動機で見られている3点
営業は成果が数字に出るぶん、採用側の見方もはっきりしています。人柄の良さより、成果を出す再現性があるかを見ています。志望動機は、その再現性を示す場だと考えてください。
採用担当が確認していること
- ✓なぜ営業なのか:数字を追う仕事を理解したうえで選んでいるか
- ✓なぜこの会社なのか:扱う商材・顧客層・営業スタイルを調べているか
- ✓成果の再現性:前職の実績が、自社でも再現できそうか
「人と話すのが好き」だけでは弱い
営業志望の理由として最も多いのがこれですが、単体では通りません。営業は話す仕事ではなく、相手の課題を見つけて解決する仕事だからです。人と関わることが好きだという性質は入り口として構いませんが、そこから「だから相手の課題に気づける」「だから継続的な関係を作れる」というところまで結びつけてください。

書く前に調べる4つのこと
同じ営業職でも、扱う商材と営業スタイルによって仕事はまるで違います。ここを調べずに書くと、どの会社にも出せる文章になり、志望度が低いと判断されます。
営業スタイル別の違い
- ・新規開拓:断られ続けても動き続ける力。行動量が評価される
- ・既存深耕:信頼を積み上げる力。関係構築の継続性が評価される
- ・法人(BtoB):組織を相手にする。検討期間が長く、論理的な提案が要る
- ・個人(BtoC):個人の判断が早い。共感と即応性が効く
| 調べること | なぜ必要か | 調べ方 |
|---|---|---|
| 扱う商材 | 有形か無形かで営業の性質が変わる | 採用ページ・サービス紹介 |
| 顧客層 | 法人か個人かで求められる力が違う | 求人票の「顧客」欄 |
| 営業スタイル | 新規開拓か既存深耕かで適性が異なる | 求人票の業務内容 |
| 評価制度 | 成果主義の度合いが働き方に直結する | 求人票の給与・インセンティブ欄 |
実績は「結果+プロセス」で書く
営業の志望動機で最も差がつくのがここです。数字だけを並べても、運が良かったのか再現性があるのかが伝わりません。逆にプロセスだけを書くと、成果が出たのか判断できません。両方をセットにします。
| 書き方 | 伝わり方 | |
|---|---|---|
| 結果だけ | 売上目標を120%達成しました | 運かもしれない。再現できるか不明 |
| プロセスだけ | 顧客に寄り添った提案を心がけました | 成果が出たのかわからない |
| 結果+プロセス | 既存顧客の利用状況を月次で分析し、利用の落ちた顧客に先回りで提案。結果、担当エリアの解約率を12%改善 | 何をして、何が起きたかが伝わる |
数字が出しにくい場合
売上を公開できない、目標が個人単位でない、という場合もあります。その場合は「担当社数」「訪問件数」「継続率」「社内順位」「新規獲得数」など、別の数字を探してください。順位なら「20名中3位」のように母数とセットで書きます。どうしても数字がなければ、任された範囲の広がり(担当エリアが2倍になった、後輩の指導を任された)で規模感を示します。

【例文1】同業界からの転職(営業経験あり)
経験者の場合、実績と再現性を前面に出します。応募先の営業スタイルに、自分の経験がどう接続するかを明示してください。
例文(法人向け・既存深耕)
- ・前職で培った既存顧客との関係構築力を、より提案の幅が広い環境で活かしたいと考え志望しました。
- ・通信機器の法人営業として、担当40社の窓口を務めてきました。契約更新前の商談だけでは関係が続かないと考え、四半期ごとに利用状況をまとめた報告書を持参する取り組みを始めたところ、担当エリアの継続率が前年比で15%改善し、うち8社から追加受注をいただきました。
- ・貴社は単発の販売ではなく導入後の運用支援まで一貫して手がけており、私が前職で重視してきた「売った後の関わり」がそのまま強みになると考えています。前職の関係構築の進め方を活かし、既存顧客の深耕で早期に貢献したいと考えております。
【例文2】異業種からの転職(営業経験あり)
業界が変わる場合、商材知識では勝負できません。営業として身につけた「進め方」が業界を問わず通用することを示します。
例文(個人向け→法人向け)
- ・個人のお客様向けで培った課題を引き出す力を、法人営業の現場で活かしたいと考え志望しました。
- ・住宅設備の個人営業として、月平均20件の商談を担当してきました。お客様が最初に口にする要望と本当の課題が違うことが多いため、現地で生活動線を一緒に確認しながら要望を整理する進め方をとってきました。結果として成約率が社内平均を8ポイント上回り、紹介経由の受注が全体の3割を占めるようになりました。
- ・貴社の扱う設備は法人向けですが、決裁者の抱える課題を現場で引き出す点は共通していると考えています。業界知識は入社後すぐに習得し、これまでの課題整理の進め方で早期に成果を出したいと考えております。
【例文3】未経験から営業へ
未経験の場合、経験の不足を認めたうえで、前職の何が営業に転用できるかを具体的に示します。意欲だけを並べないことが重要です。
例文(販売職→営業)
- ・接客で培ったお客様の要望を引き出す力を、より深く関われる営業職で活かしたいと考え志望しました。
- ・アパレル販売として1日平均30名のお客様に対応してきました。売場に立つだけでは購入後の満足まで見届けられないと感じ、購入されたお客様の着用シーンを記録して次回来店時の提案に活かす取り組みを続けたところ、担当顧客のリピート率が店舗平均を上回り、個人売上で店舗内2位となりました。
- ・営業は未経験ですが、相手の要望を引き出して提案する点は接客と共通していると考えています。貴社の営業は初回訪問から納品後のフォローまで一貫して担当すると伺い、購入後まで関わりたいという自分の志向と重なると感じました。まずは商材知識の習得に注力し、一日も早く戦力になれるよう努めます。
【例文4】新卒・第二新卒
実務経験がないぶん、なぜ営業を選んだかという理由の具体性で見られます。アルバイトやゼミの経験を材料にして構いません。
例文(新卒)
- ・成果が数字で明確に返ってくる環境で力をつけたいと考え、営業職を志望しました。
- ・大学時代、飲食店のアルバイトでリーダーを務め、平日の客足が落ちる時間帯の売上改善を任されました。近隣のオフィスに配ったチラシの反応を曜日ごとに記録し、反応の良かった曜日に絞って配布を続けたところ、その時間帯の来客数が3か月で約1.4倍になりました。仮説を立てて試し、数字で検証する過程に手応えを感じました。
- ・貴社は若手にも早期から顧客を任せる方針だと伺い、実践のなかで力をつけたい自分に合っていると考えました。まずは先輩の商談に同行して型を学び、早期に自分の担当を持てるよう努めます。
営業の志望動機でやりがちなNG
次の4つは、書類選考の段階で評価を下げます。特に1つ目は非常に多く見かけます。
避けたいNG
- ✕「人と話すのが好きだから」で終わる → 営業は課題解決の仕事。そこまで結びつける
- ✕「稼ぎたい」をそのまま書く → 動機として正しいが、書類では意欲や貢献の言葉に置き換える
- ✕商材に触れずに「貴社の理念に共感」だけ書く → 調べていないことが伝わる
- ✕実績を盛る → 面接で商談の進め方を掘られた時点で崩れる
現場の視点:数字より「なぜその数字が出たか」を聞かれる
キャリアアドバイザーとして営業職の面接に同席してきましたが、面接官が掘り下げるのは達成率そのものではなく、そこに至る行動です。「120%達成」と書いた応募者に対して聞かれるのは、市場環境が良かったのか、担当が恵まれていたのか、本人の工夫があったのか。ここで自分の行動を具体的に説明できる人が通ります。だから志望動機の段階で、結果とセットでプロセスを書いておくと、面接での受け答えもぶれません。書類と面接は別物ではなく、書いた内容がそのまま質問になります。
文字数と提出前の確認
履歴書の志望動機欄なら200〜300字、エントリーシートや職務経歴書に書く場合は300〜400字が目安です。欄の8割程度が埋まる分量にしてください。提出前に、応募先の社名・商材が正しく入っているかを必ず確認します。複数社に応募していると、前の会社名が残ったまま提出する事故が起きます。
まとめ|営業の志望動機は再現性を示す場
営業の志望動機で見られているのは、熱意ではなく再現性です。前職で出した成果が、なぜ出たのか。その進め方が応募先でも通用するのか。この2点が伝われば、経験年数や業界の違いは大きな障害になりません。実績には必ずプロセスを添える。応募先の商材と営業スタイルを調べて、自分の経験との接点を1つ書く。この2つを押さえれば、営業の志望動機は形になります。
よくある質問
Q.営業未経験でも志望動機は書けますか?
A.書けます。前職で「相手の要望を引き出した経験」「数字を意識して動いた経験」があれば、それが材料になります。営業経験がないことを謝るのではなく、何が転用できるかを具体的に示してください。
Q.売上の数字を出せない場合はどうすればいいですか?
A.担当社数、訪問件数、継続率、社内順位、新規獲得数など別の数字を探してください。順位は「20名中3位」のように母数とセットで書きます。数字が一切ない場合は、任された範囲の広がりで規模感を示します。
Q.「稼ぎたい」という動機は書いてはいけませんか?
A.書類にそのまま書くのは避けてください。営業として正当な動機ですが、書類では「成果が評価に直結する環境で力をつけたい」のように言い換えます。面接で待遇について聞くこと自体は問題ありません。
Q.志望動機は何文字くらいが適切ですか?
A.履歴書の欄なら200〜300字、職務経歴書やエントリーシートなら300〜400字が目安です。欄に対して極端に少ないと意欲が低く見えるので、8割程度を埋めてください。
Q.同じ志望動機を複数の会社に使い回してもいいですか?
A.構成は使い回せますが、「なぜこの会社か」の部分は必ず書き換えてください。ここが使い回しだと、扱う商材に触れていない一般論になり、志望度が低いと判断されます。

この記事の監修
SHIMA ENAGA現役キャリアアドバイザー/国家資格キャリアコンサルタント
人材紹介会社の現役キャリアアドバイザー。面談約1,000人、書類の添削・作成約800人。国家資格キャリアコンサルタント。得意な分野は20代の未経験転職。接客販売・営業・事務・ITエンジニア・施工管理など。